生協が向かう先
2008-02-14


いまどきの生協というべきなのだろう。直接には殺虫剤が付着した「手作り餃子」。これは価格競争の前に、「安心・安全」へのこだわりが消し飛んだ結果。だから「揺れる生協ブランド」ということになる、というのは本日の『朝日』の夕刊(15面)。同記事によれば、日本生協連のいわゆるPB(Private Brand)は7000品目弱で、食品は5500品目を超える。そして「バブル崩壊後、スーパーの安売り攻勢など業況が厳しくなる中で、低価格路線を強めて」おり、それが中国産の食品、中国産の「餃子」となったのだ読める。もちろん、中国産だから安全に問題がある、とするのは短絡というほかないし、生協と限らず現在の日本の食品が、中国抜きに提供できると考えるのは非現実的である。

いま問題とすべきなのは、生協と他の小売業との差異がほとんどなくなっているということにある。生協(生活協同組合)は、もともと「営利を目的とせず、相互扶助による生活者の経済的、文化的な生活の向上をめざし、自発的に設立された組織」である。それが、営利を目的とする小売店との区別をなくしている。

大学生協もその例外ではない。勤務先の「大学生協」で言えば、書籍部などはもはや目も当てられない状況を呈している。並んでいるのは、雑誌と文庫とハウツー本などまだ売れる商品のみ。専門書はほんのちょっぴりアリバイ的に置いてあるに過ぎない。専門書は書棚に並べてもほとんど動かないから、というのがその理由。しかし、これは専門書という現物が読み手を作り出す関係に思いが至らないという意味で発想が逆というべきである。

ま、教科書も買わない学生たちという現実の前になすすべがないというのが現実ではあろう。何しろ試験当日、教科書が売れたと思ったのもつかの間、試験終了後、一切使用しなかったから買い戻してくれとスゴむのまで現れる始末というのだから・・。
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